消化器内科
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肝機能障害には様々な原因があります。以下に代表的な疾患を記載しました。まずは原因疾患を診断することが重要です。
かつては、脂肪肝は単に肝臓に余分な脂肪が蓄積しているだけで、生命予後には影響しない予後の良好な疾患と考えられていました。勿論、脂肪肝の原因がアルコール多飲である場合は、脂肪肝から肝線維化が進行し、時には肝炎を伴い、最後は肝硬変に至る患者さんが多いことはよく知られていましたが、アルコール多飲歴がない脂肪肝の場合は、そのような経過をとらないと考えられていました。ところアルコール多飲歴のない人にも、脂肪肝から線維化、炎症が進行し、肝がん、肝硬変に進んでしまう場合があることが判明してきました(Non-Alcoholic SteatoHepatitis: NASH – 非アルコール性脂肪肝炎)。 最初にこのようなアルコールに関連しない脂肪肝炎を報告したのは、Mayo ClinicのDr.Ludwigです。Dr.Ludwigの最初の報告は20例の患者さんの経過をまとめたものでしたが、その報告は真剣には受け止められず、専門家の間でもそれらの患者さんはどうせアルコールを飲んでいるので、実は非アルコール性ではなくアルコール性肝障害であろうと思われてしまいました。真剣に受け止められなかったために、彼のこの重要な発表は主たる科学雑誌には受け入れられず、やむなく自分が勤務していたMayo Clinicが発行しているMao Clin Proc.で発表せざるをえませんでした。しかし、彼にはこの非アルコール性脂肪肝炎という疾患が存在するという確信がありました。それはこれらの症例が、皆修道女の方であったからです。一般にアルコール多飲による肝疾患の患者さんは、飲酒量をかなり少なく報告されるのですが、20名もの修道女の方々が、皆そろいもそろって過度に飲酒され、しかも飲酒を隠すことはありえないと考えたようです。その後かなり時間がたってから、世界で非アルコール性脂肪肝炎という疾患が認知されるようになりました。そして、肝細胞がんの発生原因になりうる重要な疾患として、現在ではAASLD、AGAといった消化器系の米国学会だけでなく、AACEという内分泌系の米国学会からも診断・治療ガイドラインが発行されています。今や、脂肪肝・脂肪肝炎は消化器系の疾患のみならず、糖尿病・内分泌系の疾患としてもとらえられています。 まとめますと、アルコールに関連しない脂肪肝を非アルコール性脂肪肝疾患:Non-Alcoholic Fatty Liver Disease(NAFLD)と呼び、このNAFLDの中で、炎症や線維化がある場合が非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic SteatoHepatitis(NASH)で、NASHの進行とともに肝細胞がんのリスクが高まります。このNAFLD/NASHに関しては、日本消化器病学会・日本肝臓学会がNAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改定第2版)を作成し、加えて日本肝臓学会がNASH・NAFLDの診療ガイド2021を作成しています。 NASHを対象疾患として承認されている治療薬は、いまだ日本にも米国にもありませんが、現在、国際共同治験が進行し、有望な薬剤(semaglutide, dapagliflozin, lanifibranor, resmetirom, obeticholic acid など)がいくつか報告されており、近い将来米国で承認される可能性が高いようです。 このなかには糖尿病薬が複数含まれており、脂肪肝にとって、糖代謝の調整がいかに重要かがわかります。なお、非アルコール脂肪肝疾患という病名以外に、代謝異常関連脂肪肝疾患:Metabolic dysfunction Associated Fatty Liver Disease(MAFLD)という病名も登場しました。代謝異常とは、糖尿病、高脂血症、内臓肥満などに関連しているという意味です。
さらに、2023年6月には国際的に名称が変更され、脂肪肝(Steatotic Liver Disease: SLD)という包括的な名称のもと、従来のNAFLDやMAFLDに相当する疾患はMetabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease: MASLD に置き換わりました。MASLDは、NAFLDと異なり、代謝異常関連という制限がかかるのですが、NAFLDの99%がMASLDに含まれるとのことです。fattyがsteatoticに代わった理由は、fattyという用語がスティグマだとされたためです。
肝臓がんには肝細胞がん:HepatoCellular Carcinoma(HCC)と胆管細胞がんがありますが、多くはHCCです。HCCの原因は、かつては80%近くがC型肝炎ウイルス:Hepatitis C Virus (HCV)でした。HCVは1989年に発見されたのですが、その後、新薬開発の熱意がこのHCVに集中して注がれ、直接作用型抗ウイルス薬Direct Acting Antivirals(DAA)が開発されると、2015年には難治性といわれるgenotype 1のHCVに対し、100%の治癒達成 -Sustained Viral Response(SVR)を記録する薬剤が登場しました(日本人対象Ph3試験)。その結果、HCVはHCCの原因として49%(肝がん白書 令和4年度)まで低下し、代わって非ウイルス性肝疾患、とりわけ非アルコール性脂肪肝炎(NASH)がHCCの原因疾患として増加しています。そうすると、肝臓がんの予防、早期診断のためには、NASHの患者さんを早期に診断して、その患者さんに集中して治療・検査することが必要です。 しかし、NASHの確定診断は、肝生検やMR elastographyなどの検査が必要で、侵襲を伴ったり容易ではなかったりすることから、NASHの結果としてのHCCを早期に発見することが必ずしも容易とは言えません。かつてはHCVによるHCCの早期診断は、HCV陽性の患者さんに集中して綿密に検査していれば可能であったのとは大きな違いです。また、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の患者さんは成人の約20%を占め、その中の約10%(全人口の約2%)がNASHと考えられ、その総数があまりに多いのが現状です。それを補うのがFIB4 indexやM2BPGiという検査で、NASH患者さんの絞り込みの一つの目安となっています。 HCCは早期に発見・診断された場合、ラジオ波治療や手術治療が適応となり、この両者は根治的治療法ですので早期発見の努力が重要です。HCCが進行して発見・診断されると、根治的治療法とは言えませんが、経動脈カテーテル治療や全身薬物療法の適応となります。全身薬物療法に関しては、従来の化学療法薬(いわゆる抗がん剤で、投与量が多くなると副作用が必発で強い)では全生存期間:Overall Survival(OS)を優位に延長する薬剤はなかったのですが、ソラフェニブから始まる分子標的薬が次々に出現し、徐々にOSが延長してきています。かつては“抗がん剤が効かないがん”でしたが、“薬物療法が効くがん” になりつつあります。免疫療法薬では、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、トレメリムマブが肝細胞癌に対する治療薬として日本でも承認されています。
B型肝炎ウイルスHepatitis B Virus(HBV)に対する治療は、C型肝炎ウイルスの方が、後から発見されたにもかかわらず先に根治可能な薬剤が開発されたことから、やや取り残された感があります。しかし、HBVに感染している患者さんの中では、一生涯にわたって症状もなく、HCCも発症しない患者さんの方が多いことから、やみくもに全員に薬物治療が必要なわけではありません。HBVに対する薬物治療の必要性は、HBVの遺伝子型genotype(日本人はgenotype C型が最も多く、相対的に難治性)や、ウイルス量、炎症の度合いを表すAST・ALT値、炎症に関連したAFP値などから総合的に検討することが必要です。患者数に関しては、母子間感染予防のための取り組みにより、垂直感染患者数は大幅に減少したのですが、成人になってからの水平感染で急性肝炎を発症し、そこから慢性化する患者さんが増えています(genotype A)。また、子ども同士の水平感染も問題になっていましたが、日本でも2016年からユニバーサルワクチンが導入され、減少することが期待されています。 治療薬として、エンテカビルやテノホビルがあり、薬剤耐性を生じにくく極めて有効な治療薬ですが、根治的ではなく体内から完全に排除されるものではないので、治療の途中で内服を中止しないことが極めて重要です。
今や根治的な薬剤が次々に登場し、HCV単独感染で初回治療の方ならば、ほぼ100%の患者さんが治癒(Sustained Viral Response: SVR)し、体内から排除されます。HCVの発見が1989年であるのに、このような短期間で治癒可能となり医学の進歩を最も享受できた領域です。なかでも、ソホスブビル・ベルパスタビルは線維化の程度や肝硬変の有無にかかわらず、またgenotypeにかかわらず有効で使いやすい薬剤と考えられています。ただ、HCVが消失治癒後もしばらくは肝発がんのリスクは残存していますので、治癒後も肝がんの発生がないか経過観察が必要です。さらに1点注意すべきは、単独感染ではなく他のウイルスとの重感染のケースが増えているので、HCVだけを見て他のウイルス疾患を見逃さないようにという点です。
免疫が関与している疾患と考えられ、難治性疾患として指定されています。特に原発性胆汁性胆管炎は決して稀な疾患ではなく、専門医による診断が必要です。診断には肝生検が必要とされます。
準備中
日本人の食道がんは扁平上皮がんが多く、危険因子として喫煙、ALDH2ヘテロの方のアルコール多飲などが挙げられます。早期の食道がんはX線検査では発見することが難しいので、内視鏡検査の有用性が高い疾患です。内視鏡検査時に特殊光(BLI/NBI)を用いることにより多くの早期食道がんを発見・診断できるようになっています。また、食道扁平上皮がんの危険因子は咽頭がんと重複するので、食道がんが見つかった場合には咽頭がんが合併していないか検査する必要があります。 近年、日本でも欧米のように、扁平上皮がんではなく腺がんが増加傾向にあります。発生する部位は多くが下部食道で、逆流性食道炎やバレット上皮との関連が指摘されています。
逆流性食道炎は胸のつかえ感、のどの違和感、上腹部の不快感など様々な症状を伴い、心臓疾患を含めた他の疾患との区別が容易ではないこともあります。近年、肥満や、ヘリコバクター除菌による胃酸分泌の改善などにより、逆流性食道炎の患者さんが増加傾向です。ひどくなると出血、吐血に至ることもありますが、そのような患者さんはごく一部の重度の患者さんのみです。むしろ疾患が長期的に持続すると、バレット上皮を形成し、下部食道腺がんの誘因となることに注意する必要があります。逆流性食道炎は胃食道逆流症:Gastro Esophageal Reflux Disease(GERD)に含まれます。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍は主にヘリコバクターピロリ菌が原因であり、その場合は除菌治療を行うことにより90%以上の患者さんで除菌に成功し、治癒が期待できます。それでもピロリ菌の中には多剤耐性菌が存在し、難治性となる場合もありますので、除菌治療後にピロリ菌陰性となることをきちんと確認することが重要です。ピロリ菌陽性の判定は採血検査で行いますが、慢性胃炎による胃粘膜の萎縮が強い場合にはピロリ菌が偽陰性(本当は陽性)となる場合があります。採血によるピロリ菌検査が陰性でも、胃粘膜萎縮がないか、胃内視鏡検査もしくはペプシノーゲン法により確認することが必要です。 従来は胃の良性疾患というと、ピロリ菌が原因の胃潰瘍や慢性胃炎だったのですが、これらに代わって心血管疾患、脳動脈疾患の予防のための抗血小板薬や、整形外科的疾患に対して使用する鎮痛薬による胃炎が増加しています。胃内視鏡検査による診断とプロトンポンプ阻害薬による治療が有用です。
ヘリコバクターピロリ菌が発見され、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎の原因であるのみならず、胃がんの重要なリスクであることが判明し、除菌内服治療が浸透した日本では胃がんの発生が高齢者を除いて低下傾向にあります。ピロリ菌が胃がんの重要な危険因子であることを発見した過程には日本人研究者が大きく貢献しました。また、ピロリ菌除菌後に胃がんの発生(年齢調整罹患率・死亡率)が低下したという疫学もピロリ菌が胃がんの大きなリスクであることを間接的に証明しました。しかし、いまだに部位別がん罹患数は男性では3番目、女性では4番目、部位別がん死亡数は男性では肺がんについで2番目、女性では大腸がん、肺がん、膵がん、乳がんについで5番目ですので、検診の重要性は変わっていません。胃がんの早期診断は、やはり内視鏡検査が必須で、特殊光(LCI)によるスクリーニングと、疑わしい病変にはインジゴカルミン染色が有用です。 スクリーニング検査の結果、胃がんを早期に発見できた場合は、内視鏡的粘膜下層剥離術:Endoscopic Submucosal Dissection(ESD)などの内視鏡治療が選択されます。やや進行して内視鏡治療が適応でない場合でも手術療法で良好な予後が期待できます。手術不可能な患者さんは予後が不良ですが、近年胃がんに対する全身薬物療法も進歩して、分子標的薬物療法が登場し、全生存期間:Overall Survival(OS)も延長してきました。至適な薬剤を選択するためにはHER2陽性・陰性やMSI-high or lowの検査が必要です。また、2021年には遅まきながら治癒切除不能の進行再発HER2陰性胃がんの1次治療(first line)にも抗PD-1抗体も使用できるようになりました。肺がんに対するほどの切れ味はありませんが、それでもOSの有意な延長が確認されています。
MALTはMucosa Associated Lymphoid Tissueの略で、リンパ節以外に発生する節外性辺縁帯リンパ腫です。日本では胃MALTリンパ腫の90%にピロリ菌が陽性で、ピロリ菌除菌によりその60~100%の症例で長期完全奏功が期待できると報告されています。腫瘍であるにもかかわらず除菌療法で治癒するという特徴があります。辺縁帯とは、リンパ節内部に多数見られる球状構造の辺縁を意味し、そこから発生したリンパ腫という意味です。ちなみに、辺縁帯のすく内側がマントル帯で、ここから発生するリンパ腫はマントル細胞リンパ腫:Mantle Cell Lymphoma(MCL)と呼ばれます。
大腸ポリープは、大腸がんに進展するリスクがあることから、必要に応じて内視鏡で切除することが望ましいと考えられています。大きく分けて、過形成、腺腫、がんの3種類がありますが、大腸内視鏡下に特殊光(BLI/NBI)を用いて拡大観察すると血管構造、表面構造の2つの要素からおよその見分けがつきます(JNET分類)。平坦型で、大きさが小さく、かつ拡大観察でもがんの可能性がほぼない場合は熱通電を用いずcold forceps/snare polypectomy(CFP/CSP)で比較的安全に切除できます。一方、有茎性病変や、大きい病変や、拡大観察でがんを内在している可能性がある病変は熱通電を用いた内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic Mucosal Resection(EMR)以上の治療が必要となります。早期がんが疑われる場合は確実に全てを除去することが必要で、より広範で深く切除するため、ESD治療が選択される場合があります。
大腸がんは胃がんや肝細胞がんのように明確なリスク因子がないことから、便潜血など、対象を絞らず広く設定した検診が重要です。今や日本人でも部位別がん罹患数(男性2番目、女性2番目)、部位別がん死亡数(男性3番目、女性1番目)が多く、罹患数と死亡数は明らかに増加しています。しかし、年齢調整の罹患率と死亡率に関しては、罹患率はいまだ増加傾向であるのに対し、死亡率は減少傾向にあり、大腸内視鏡検査の普及が貢献している可能性が大いにあります。大腸内視鏡検査により早期がん、あるいはその前段階の腺腫を発見し早期に治療することが重要です。全ての大腸がんが腺腫を経由して大腸がんとなるなら単純なのですが、腺腫を経由せず大腸がんとなる病変も存在すると考えられています。近年では、病理学的に鋸歯状構造を伴う鋸歯状病変 Sessile Serrated Lesion(SSL)もその遺伝子変異との関連から重要視されつつあります。治療に関しては、胃がんと同じように、早期に発見されればEMRやESDなどの内視鏡治療が、粘膜下浸潤が進行しているが場合は手術治療が適応となります。より進行してしまった状態で発見・診断された場合は全身薬物療法の適応となりますが、胃がん以上に分子標的薬を含む薬物療法が進歩し、腫瘍のK-RAS遺伝子変異、N-RAS遺伝子変異、B-RAF遺伝子変異、MicroSatellite Instability(MSI)を治療前に検査することが必要です。MSI-highの場合は抗PD-1抗体が極めて有効です。また、右側大腸と左側大腸では発生が異なり、遺伝子変異も異なるため、発生部位も治療に関連します。さらには、遺伝性の大腸がんもあることから、家族歴の聴取が重要です。
潰瘍性大腸炎は粘血便や下痢を主症状とする炎症性腸疾患の一部で、自己免疫が疾患にかかわると考えられています。消化器疾患で自己免疫がかかわる病気というと、自己免疫性肝炎、自己免疫性膵炎などがあり、それらはステロイドが有効な疾患ですが、潰瘍性大腸炎もまたステロイドが有効な疾患です。しかし、潰瘍性大腸炎の治療においては、ステロイドはおよそ3か月間の寛解導入期や再発時期のみに使用され、寛解維持期には原則使用を控えるべきという特徴があります。
日本における患者数は現在30万人以上と推定されており、決して稀な疾患ではありません。この患者数の増加は、食生活の変化や腸内細菌叢の変化が誘因の一つと考えられています。一方で、同胞の発病率を一卵双生児と二卵双生児で比較すると、一卵性双生児の場合の方が発症率が高いことから、遺伝の要因もあると考えられます。病気の発症年齢は20歳代がピークですが、近年60歳以上で発症する例が増えています。
治療は、メサラジン(5-ASA)製剤、ステロイド、カルシニューリン阻害薬(タクロリムス、シクロスポリン)、チオプリン製剤(アザチオプリン、メルカプトプリン)、生物学的製剤(抗TNFα抗体、抗インテグリン抗体、抗IL12/23 p40抗体)、低分子–分子標的薬(JAK阻害薬、経口インテグリン阻害薬)などの薬剤の他、血球成分除去療法(アダカラム、イムノピュア)があります。メサラジンとステロイドには、座薬や注腸といった局所療法もあります。また、一部の重症例や大腸がん合併例では手術治療が必要です。こう見ると治療は複雑ですが、実は全潰瘍性大腸炎患者さんの半数以上が軽症で維持され、これら軽症患者さんに限定すると、メサラジン製剤が治療の基本で、カルシニュウーリン阻害薬、生物学的製剤、低分子–低分子標的薬、血球成分除去療法を考慮することはほとんどありません。
そのメサラジン製剤には、ペンタサ、アサコール、リアルダ、サラゾピリンがあり、それぞれ特徴がありますのでうまく使い分けること、そして座薬や注腸などの局所療法薬を必要に応じて追加することが必要です。注意すべきは時に5-ASA不耐といって、5-ASA製剤を処方すると下痢、腹痛、発熱の出現・悪化といったまるで潰瘍性大腸炎が悪化したかのような合併症を引き起こすことがあるということです。
いずれにしても治療が大きく進歩し、潰瘍性大腸炎に罹患していない方とほぼ同等の生命予後が期待されるので、以上の薬物療法は極めて重要であり、頑張って治療を行う甲斐があります。治療が不十分であったり、難治性でなかなかすっきりと炎症がおさまらない患者さんの場合、一般的に発症から8年を経過してくると大腸がんを合併してしまう可能性が出てくることから、極力きちんと炎症を抑えて内視鏡的に「粘膜治癒」の状態に持ってゆくことが重要です。
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